今年、ロシアのドーピング問題を扱ったNetflixのドキュメンタリー「イカロス」が、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。

「13の理由」や「センス・エイト」など、政治や社会の課題に言及したフィクション作品を生み出しているNetflixは、現実の社会課題を扱ったドキュメンタリーにおいても存在感を発揮し始めている。

そんなNetflixが新たに配信をスタートしたのが、米国のニュースメディアVox制作のドキュメンタリー「世界の今をダイジェスト(原題:Explained)」だ。

社会現象を多角的に解説

世界の今をダイジェスト(原題:Explained)」は「人種による貧富の差」や「一夫一妻」、「K-Pop」など、社会で“今”注目されている事象を取り上げ、解説する番組だ。1エピソードは20分で、毎週1話ずつエピソードが更新される。

本シリーズではインタビューや専門家のコメント、統計調査など、複数のソースをもとに1つのトピックを多角的に探求していく。例えば「一夫一妻」では複数のカップルのコメントや専門家の意見、遺伝子的に人間に近いボノボやチンパンジーの生態解説など、複数の視点から「一夫一妻」について分析していく。

SNSで目にする5分前後のニュース動画よりも深く背景が理解できる、けれど1時間超えの濃厚なドキュメンタリーよりも気軽に観られる作品だ。

コンテンツの幅を広げるNetflix

一度に全エピソードを配信し、ドラマを「イッキ見(ビンジ・ウォッチング)」する文化を生み出したNetflixだが、最近では毎週更新の作品にも注力している。米国の人気司会者デヴィッド・レターマンが出演する「デヴィッド・レターマン: 今日のゲストは大スター」はその筆頭だろう。

またNetflixは7月からBuzzFeedのドキュメンタリーシリーズ「フォローディス(Follow This)」の配信も開始する。毎週更新予定の本シリーズは、BuzzFeedのジャーナリストの取材の裏側に迫るもので、各エピソードはおよそ15分だという。

HBOやAmazonプライムでも大ヒットする海外ドラマが増えてきた今、「観るものが多すぎる」という“課題”を抱えている人も多いだろう。15〜20分程度で視聴できる、けれど厚みがあり、好奇心を刺激するドキュメンタリーシリーズは、そうした声に応えることもできるかもしれない。