環境省の「食品廃棄物などの利用状況(2014年度)」によると、日本では全国で年間621万トンもの「食品ロス」が発生している。多くが生ゴミとして焼却処理されている現状があり、その発生を抑えるために様々な企業・団体が取り組みを進めている。

NTTドコモもその一つだ。同社は2018年1月15日、食品ロスを減らす仕組み「EcoBuy」の有効性について、都内のスーパーで実証実験を行うと発表した。

EcoBuyでは、賞味期限・消費期限が近くなった食品を購入した消費者に対して、スマートフォン向けアプリを活用してポイントを付与する。

具体的には、消費者がアプリを通じて「レシート」と「賞味期限・消費期限」の情報が記載された写真をアップロード。その内容をポイントセンターで確認し、条件に合致している場合、インセンティブとして定価の約20%相当のポイントが付与される。

今回の実証実験で付与されるのは、dポイントと楽天Edyのポイントだ。

消費者の利用イメージ

アップロードした写真の情報を基に、食品の賞味期限・消費期限が近づいたタイミングで、アプリから通知が行われるという。対象食品を完食していた場合は「サンキューメッセージ」を、飲食前の場合は購入した食品で作れるレシピを提案してくれる。

実証実験は、1月19日~2月28日にかけて「miniピアゴ入船1丁目店(東京都中央区)」で行われる予定。NTTドコモは、プレスリリースで「消費者の意識向上を図り、廃棄量の削減を促すことによって、食品ロス問題の継続的な解決を支援していく」とコメントした。

開始延期となっている「Reduce GO」

食品ロスに向けた取り組みの代表的な事例として、イギリスの「Too Good To Go」がある。

ハフポスト日本版』によると、同サービスはアプリを活用して、飲食店で残った料理を割引料金で注文することができる。消費者が行わなければいけないのは飲食店を選び、アプリから決済するだけ。注文には、約264円~503円の費用がかかるという。

国内では、SHIFFTの余剰食品削減プラットフォーム「Reduce GO」が話題となった。

Reduce GOは、食品ロスを減らしたい飲食店と消費者をマッチングする。月額1980円を支払うことで、東京都23区内で登録されている飲食・小売店から残った料理を注文可能。こちらも消費者はアプリで注文を行い、お店に受け取りにいくだけのフローとなっている。

2017年4月に事前登録受付を開始し、年内中のサービス開始を予定していたが、より多くの飲食店の参加を目指して延期を発表。2018年春頃の開始になるようだ。

Reduce GOのWebサイト。サービス開始延期について記載されている

食品ロスに向けた取り組みは活発化しているが、Reduce GOがサービス開始を延期したように、サービス展開のハードルは高いといえる。店舗側がサービスに登録する負担をどう減らすか、消費者に積極的に活用してもらうためのインセンティブ設計をどうしたらいいのか。

その意味では、NTTドコモの実証実験におけるインセンティブの「dポイント/楽天Edyのポイント付与」が消費者の行動をどこまで促すか、サービスの登録など店舗側のハードルをどう乗り越えるかは注目だ。NTTドコモのように誰もが知っているような企業が、食品ロス問題の解決に向けて取り組む意義は大きいと考える。実証実験の結果に期待したい。