贈与や寄付は人間社会の基盤。効率性ではくくれず、欠かせない個人の思いや共感によるお金の流れ #IMPACTSHIFT

2000年代、NPOや社会起業が盛り上がりをみせる一方、資金提供において現在のようなインパクト投資ファンドやベンチャーファイナンスなどの選択肢が豊富ではなかった。そのため、社会課題解決や非営利領域を支えてきたのは、フィランソロピーに代表される見返りを求めない寄付行為が中心であった。

そこから数十年が経った現在、ソーシャルビジネス、インパクトスタートアップといった社会性と経済成長を求める活動に資金が集まりつつある。そうしたなか、これまで贈与経済の中心であった寄付と資本主義的経済はどのようなあり方が求められるのだろうか。寄付や贈与といった共助と、社会変革の投資対効果を求める動きの狭間で揺れ動く「お金」のあり方が問われている。

2024年3月に開催された「IMPACT SHIFT」内のセッション「資本主義は贈与経済と交わるのか-非営利セクターを取り巻くシステムの変容-」には、個人の資産を活かした社会貢献活動のアドバイザリー・ファームであるフィランソロピー・アドバイザーズ代表取締役の小柴優子氏、リブセンス取締役で一般社団法人新しい贈与論にて寄付や贈与のあり方を見直す活動を行う桂大介氏、ビジネスパーソンが新興国で社会課題に取り組む事業などを手がけるNPO法人クロスフィールズ代表理事の小沼大地氏、モデレーターに戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進を行うAVPNシニアマネージャーのエリクセン恵氏が登壇し、資本主義と贈与経済の関係性について議論が交わされた。