「人格を宿した文章は強い」SNS時代を生きるライターが身につけるべきスキルを #ウルサス本 の著者とブックライターが語る #inquire_event

SNSが普及した今、情報の流れ方は以前と大きく変わっています。もちろん、SNSを見ていない人だって、世界には大勢いらっしゃるのも事実です。

ただ、少なくとも今、この記事に興味を持ってたどり着いた方々には「SNSが生まれてから、情報の摂取の仕方は変わったよね」という実感があるのではないでしょうか。

インクワイアでは、こうした社会の変化を踏まえて、「SNS時代におけるライターの価値」と題したイベントを催しました。

ご登壇いただいたのは、今年の8月に出版された『僕らはSNSでモノを買う』の著者である飯髙悠太さんと、この本のブックライターを務めた佐藤友美さんです。お二人に、本の制作過程を伺いながら、「ライターと本」「ライターとSNS」の関係性をひも解いていくようなお話をしていただきました。本記事は、その様子のレポートです。

普段からnoteを読んでいる、あるいは、SNSが身近にある方にとっては、いくつもの気づきが埋め込まれた内容になっていると思います。ぜひ、掘り起こして、お持ち帰りください。

3年かかった本づくり「一時は出ないかと思った」

ーまず、書籍『僕らはSNSでモノを買う』の企画がどんな経緯で生まれたのか、お二人に聞きました。なんでも、佐藤さんと飯髙さんとの出会いも、SNS上だったのだとか。

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佐藤 友美(さとう・ゆみ、通称「さとゆみ」)さん 
書籍ライター・著者
テレビ制作会社勤務ののち、2001年ライターに転身。雑誌、ムック制作、ウェブメディアの編集長を経て、近年は年間7〜8冊を担当する書籍ライターとして活動。宣伝会議の編集ライター養成講座講師。自著には『女は、髪と、生きていく』『女の運命は髪で変わる』『道を継ぐ』など。『僕らはSNSでモノを買う』では、企画・構成を担当。

佐藤さん:人づてに「SNSについて勉強したかったら、Twitterで飯髙くんをフォローするといいよ」って薦められて、彼の存在を初めて知ったんです。ツイート見て面白いと思って、すぐにDMして飲みに行って、それ以来ずっと“飲み友”です(笑)

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飯髙 悠太(いいたか・ゆうた)さん
株式会社ホットリンクCMO
2014年、株式会社ベーシックにてWebマーケティングメディア「ferret」を立ち上げ、創刊編集長に就任。2017年、同社の執行役員に。2019年にホットリンクに入社し、同年4月より現職。これまでに東証1部上場企業を含め、100社以上のコンサルティングを経験。総ツイート数は13.9万(2019年11月時点)。著書に『僕らはSNSでモノを買う』。

飯髙さん:それで2回目に飲みに行った時かな、「飯髙くんの話、面白いから本にしよう。私が企画通すから、それまで他所では出さないでね」って釘を刺されて(笑)。でも、そういう風に言ってくれるのが嬉しかったんですよね。実際、これまでに出版のオファーはいくつかありましたが、「友美さんとの本が出るまでは」って、全部断ってきました。

ーこんな背景から、書籍の企画が動き出したのが約3年前。当時はオウンドメディアの全盛期だったこともあって、“メディアの運営の仕方”というテーマで1冊まとめようと、佐藤さんの取材がスタートしました。けれども、飯髙さんの言葉が「予想以上に感覚的」で、思わぬ苦戦を強いられることに。

佐藤さん:飯髙さんは「こうなって、こうなるんですよ。わかりますよね?」って感じで語るんだけど、こっちとしては「それが分からないから詳しく聞いて本にしたいのに!」という気持ちなわけで。彼に何回かインタビューをした後で、編集者さんと一緒に「やばい、これ出版できないかも」と頭を抱えてましたね(笑)

飯髙さん:たぶん、当時いろんな会社のマーケティングに同時並行で携わってて、言語化が間に合ってなかったんですよね。この本にも登場してもらっているクライアントの方が「飯髙くんは長嶋茂雄だよ。『どうやったら打てる?』と聞かれて、『ボールが来たらバットを振る』って答えるタイプ」って言われて、自分でもすごく納得しました(笑)

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ー長嶋茂雄か……悩んだ佐藤さんは、編集者と相談した末に「飯髙さん抜きで、彼がコンサルティングをしているクライアントの担当者に話を聞きにいく」取材スタイルに転換しました。飯髙さんの仕事ぶりを知る第三者に、彼のやっていることの言語化を手伝ってもらおうという作戦です。

これが見事にハマって、「飯髙さんの話している内容、その背景にあるものがよく理解できるようになった」と話す佐藤さん。さらには本の内容も「オウンドメディアの運営の仕方」から、「誰もがメディアになり、誰もがコンテンツの作り手になれる時代で、どのようにモノを売っていくか」という、より広がりのあるテーマになっていきました。

佐藤さんは「」として、これまでに数多くの本を執筆しています。ブックライターとは、タレントやスポーツ選手、経営者などの“著者となる人”の話を聞いて、それを著者の代わりに原稿化していく仕事です。

佐藤さん:私はブックライターを、カメラマンやイラストレーターと同じような存在だと感じています。たとえば、ウルサス本では飯髙さんのイラストが出てきますけど「本人のイラストだから、本人が描いたんだろう」とは思わないですよね。

イラストレーションや撮影と同様に、ライティングも特殊技能なんです。私はその道のプロとして、著者さんの言語化のお手伝いをしています。そんな風に理解してもらえると、このブックライターという仕事のスタンスや必要性が、理解してもらえるんじゃないかなと思っています。

ーブックライティングの経験豊富な佐藤さんでも、飯髙さんとの本づくりは「いつもと違う」要素が多かったと言います。

佐藤さん:1冊の本あたり、いつもなら「準備&取材期間3か月+執筆期間1か月+原稿確認2か月=トータル6か月」くらいでつくるんだけど、3年かかってますからね。あと、取材回数も普段は5〜6回のところ、今回はゆうに10回を超えてる(笑)。でもね、「手間のかかる子ほど可愛い」じゃないけど、それだけ思い入れは強くなってますね。

本の売り方と「一週間前に読んだ記事、覚えてますか?」

ー『僕らはSNSでモノを買う』は、これまでに5回の重版を重ねており(2019年11月時点)、発刊から現在に至るまで、SNSでの感想のシェアも数多くアップされています。この本の担当編集者さんは「初めての著書で、テーマも限定的。にもかかわらず、これだけ感想が多く、(期間的に)長くシェアされ続ける本は、今までに見たことがない」と驚かれていました。

飯髙さんは自身の著作の売り方ついて、発刊の1か月前から考え、動いていたと言います。一体、どんな戦略があったのでしょうか。

飯髙さん:あんまり特別なことはしてなくて、基本的に「普段、仕事でやっていることを実行しよう」というスタンスでした。本のプロモーションとして指標にしたのは「僕の本をどれだけ買われているか」ではなく、「僕の本について、どれだけTwitterでつぶやかれているか」です。それをキャッチアップしやすくするために、「#ウルサス本」というハッシュタグをつくって、発刊前から使っていました。

ーそして、本についての話題や「#ウルサス本」のハッシュタグが常時、自分のタイムライン上に可視化されるよう工夫したと語る飯髙さん。取材された記事やイベント登壇も、発刊前後で被らないよう調整して、本にまつわる露出が長く途切れない状態をキープしました。

飯髙さん:皆さん、一週間前に見て記憶に残っている記事ってありますか? ぶっちゃけ、ないですよね。僕も一週間前に食べたランチとか、まったく覚えてません。三日前でも怪しいな(笑)。だからこそ、コンテンツのデリバリーは「常に可視化されている状況」をつくるべきです。体験が蓄積されて初めて、興味を持ってもらえるものだから。

ーそのかいもあって、発刊後から少しずつ着実に「読んだよ」「これから読む」「読んでこう思った」といった、本についての口コミはどんどん増えてきました。飯髙さんは、それらのすべてに「Like」をすることはもちろん、「どのツイートをRTするか」についても、戦略的に吟味していました。

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飯髙さん:「フォロワーが多いと発信力が高く、それだけ多くの人に情報を届けられる」って、本当はウソなんです。いや、ウソではないんですけど、再現性がないですよね? 一回つぶやいてもらっても、またつぶやいてもらう確率は極めて低い。

皆さんの中で昨日「お笑い芸人の有吉さんのツイートを見たよ」って方、いますか? やっぱり、ここにはいないですよね。彼、いま日本で一番フォロワーが多いんですよ。「数が多ければそれだけ発信力が高い」って考え方なら、一人くらい見かけた人がいてもいいはずじゃないですか。

Twitterのマーケティングは、基本的にテーマ軸でやらないと意味がないんです。自分がSNS上でどういう属性で、どういうフォロワーが多いのか。僕のアカウントはかなりゴチャゴチャしてるんですけど(笑)、マーケティングやスタートアップの人たちが多かったりする。そのクラスタの人たちに「いまこのメッセージが刺さっている」「これからはこういうメッセージが刺さりそう」という観点から、本のUGC(User Generated Contents≒口コミ)として触れてほしいツイートを選んでRTしていました。

ーこうした施策が功を奏して、「#ウルサス本」についてのツイートはどんどん増え、それが“販売部数”という本来的に目指すべき結果にも結びついていきました。

個人は自由に、仕事でやるなら再現性を

ー「Twitterはテーマ軸」という発言に対して、深くうなずいていた佐藤さん。実は最近、飯髙さんにアドバイスの受けて、2つ目のアカウントをつくったそうです。

佐藤さん:今まで私は、自分自身の中の大きなテーマである「ライターの話」と「髪の毛(美容関連)の話」を、ひとつのアカウントでつぶやいていて。フォロワーさんからしたら、「この人どういうだろう」って分かりにくいかも、って思っていました。

それで飯髙さんに勧められて、「ライターの話」をするアカウントと、「髪の毛の話」をするアカウントを切り分けたんです。そしたら、ライターのアカウントの方のフォロワーがすごい勢いで増えて、一気に1万人を超えたんです。「ライターの話をする人なのか」と、わかりやすくなったからですよね。実際、フォロワーさんの多くは、執筆関係の人たちになりました。個人的にも、気兼ねなく両方の話ができるようになったので、ストレスがなくなってスッキリしました。

ーTwitter上でのさまざまな訴求テクニックを解説しながらも、普段は自分のアカウントで「○○駅通過」「お腹いたい」など、どうでもいいことばかりツイートしていると語る飯髙さん。「無理せず、やれる範囲で、好きなように。それが一番」と付け加えます。

飯髙さん:こだわりすぎて「ああしなきゃ、こうしなきゃ」ってなると、やるのが億劫になっちゃいますよね。僕はシンプルにツイッターが大好きで、起きてる時間はずっとつぶやいてます。正直、そこに方針なんて何もないですよ。呼吸と同じです(笑)

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飯髙さん:ただ、マーケティングで活用するとか、企業で運用する場合には「再現性」が大事です。SNSはユーザー投稿数や自社アカウントなどのデータが取れるので、そこで再現性を担保できる工夫をすればいいと思います。

本には人格が宿る、そしてウソはバレる

ー本のテーマにつられて先走りましたが、少し時計の針を戻して、本の具体的な執筆過程のお話に移ります。「今回の本の“書き方”について、何か意識したことは?」という質問に対して、佐藤さんは「余白を出したくて、文体や語尾を揺らした」と答えました。

佐藤さん:皆さんも今聞いててわかると思うんですけど、飯髙さんの喋り方、テンポがゆっくりで緩いですよね。普通、ビジネス書だと「私は○○である」みたいに固めの文体で書くところ、今回は飯髙さんの人柄や口調を出したかったから、会話調にしたんです。結構思いきった判断でしたが、結果的にはハマったなと感じています。

私は書籍のライターって「翻訳家」に近い職業だなって思っています。「日本語を日本語に翻訳する仕事」だからこそ、著者さんの人格がにじみ出る文章にしたい。今回の本で言うと、緩さが出せない文体だと飯髙さんの良さが伝わらない気がして。でも、緩みっぱなしだとだれちゃうから(笑)、解説の部分だけピリッとした文体にして、アクセントを付けました。

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ー昔、著者と読者の距離は離れていました。多くの読者は本からしか、著者の言葉にアクセスできませんでした。今の読者は、インターネットを通じて、著者についての情報をたくさん得られます。著者がSNSをやっていれば、より肉声に近い言葉にも触れられるでしょう。そんな時代だからこそ「文体と人格」の関係は、以前にも増して重要になっているのかもしれません。

佐藤さん:今は「その人が透けて見える時代」だなと思っていて。だから、著者さんと人格が分離している本って、どこか違和感を感じるんですよね。著者を知っている人から「この本、あの人っぽくないね」と言われてしまうようだと、何かが違うんだと思います。本にはどうしたって著者さんの人格が宿ります。だから、結局のところ、ウソはつけない。その著者さんが持っている以上のものは表現できないんです。

ー文体と著者の人格を乖離させないこと。この言葉も、これから先の社会を考えていくための、重要なキーワードだと感じます。

飯髙さん:企業やビジネスの文脈でも「ウソをつかない」ってホントに大事なんですよ。今って、見え透いたウソはバレる時代ですから。誠実にいい仕事をし続ける企業は、そういう風な認知が自然と広がっていく。その逆も然りです。

最近、初対面の人から「本の印象のまんまですね!」って言われること、結構多くて。もっとすごいのが、SNS上で会ったことのない人から「本読みました、飯髙さんらしさが出てましたね!」ってリプがきたことも(笑)。それだけ友美さんが、僕の人格を誠実に捉えてくださったってことだし、自分で読んでても「自分らしいな」と思えるんですよ。ホントに、ありがたいなと思います。

ライターの人格は、どうしたって言葉選びに宿る

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ー“文章に人格を宿すこと”について、佐藤さんはさらに興味深い方向へ、話を掘り下げてくれました。

佐藤さん:「AIが人間のようにライティングをする時代が来る」って言われて、皆さんはどう思いますか? 実際に、簡単なニュース記事をAIに書かせる実験は進められているし、小説を書くAIも開発されています。

ただ、私はね、AIが書いた小説にはファンがつきにくい気がしています。読者は、作者が書いた文章だけを受け取っているわけじゃない。「これはお子さんが亡くなった時に書かれたものだ」とか、その作者の周辺の情報も加味して読んでいる。これまでの人生、培ってきた人格が宿るからこそ、ファンがつくと思うんですよね。

ー生きとし生ける書き手だからこそ、書けるものがある。この言葉に、励まされない書き手がいるでしょうか。「そうは言っても、ライターって人の話を書くから、自分の人格を出すような仕事じゃないよね」と思う方も、いらっしゃるかもしれません。そのことは、佐藤さんも脳裏によぎっていたようです。

佐藤さん:“文章を書く”という同じ行為に携わっていても、「作家」と「ライター」はまったく別の職業です。服を生み出すデザイナーと、人に合わせて服を組み合わせるスタイリストくらい違います。その人がもともと考えていないことを、無理やりつくって書いてはいけない……ライターは、そういう仕事です。

だからと言って、私が普段ライターの仕事をしている時に「自分を殺しているか」というと、まったくそんなことはないんですよ。その人の持っている思いに合わせて、ピッタリ合う言葉を選んでいく。私の人生の経験値から、言葉を選ぶ。その「選択」という行為には、どれだけ自分を殺そうが、「私」という視点が宿ってしまう。それはきっと、コンピューターが書く文章とは違うでしょうね。

「本のほうが、残りませんよ」

ー「今は本が売れない時代だ」というセリフは、ここ十数年、ずっと言われ続けているように思えます。本づくりには、大変な労力とお金がかかります。Webにも山ほどコンテンツがあふれている世の中で、「わざわざコストをかけて本にする」という選択のハードルは、どんどん上がっていくのかもしれません。

飯髙さんはWebメディアを主戦場とする人ですが、本を出してみて、いろいろ気付けたことがあると話します。

飯髙さん:実物を手にした時、やっぱりスゴいなと思いました。ワクワクするというか、幸福度が違う。それは、読者の人も感じているんじゃないかなと。手に取った喜びがあるから、写真を撮ってSNSにアップするわけで。手触りがあって、所有することでの愛着が生まれる。だから、それだけ集中して読んでもらえる。やっぱり読書は、スマホで記事を読むのと、根本的に異なる体験ですよね。

仕事上でも大きな変化があって、本を出してから、営業先で「僕らはこういうことをやっています」という一次プレゼンをしなくてよくなったケースもあります。なぜなら、クライアントさんが僕の本を読んでくれた上で「うちの課題はこうなので、この手法でここを解決してほしい」と相談をしてくれるようになったから。Webの記事とは届き方が違うな、と実感しています。

ー「届き方が違う」という飯髙さんの言葉に、佐藤さんがすかさず反応しました。

佐藤さん:Webと本の違いって、テレビと映画の違いに似てるなと感じます。映画館に観客を閉じ込めるみたいに、本も時間と空間を支配しうるんです。本は作り手がこの順番で読んで欲しいと望むパッケージで届けることができる。逆にいうと、一冊の本としての物語やうねりがなければ、わざわざ書籍化する意味はないんですよね。Webの方が気軽に、無料で読めるので。

ーいつでもどこでも簡単にアクセスできるWeb上にだって、数多くの素晴らしい文章が見つけられます。本が好きで、ブックライティングを生業とする佐藤さんが「無理やり本にしなくていい」と語る、その重みを、会場に集まった私たちは噛みしめていました。

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佐藤さん:若い人によく「いつか本を書きたいです」と相談されるんです。理由をと聞くと「本の方が残るから」って。声を大にして言いたいのだけど、本のほうが残りませんよ。“売れている本”しか、残らないんです。本って売れなかったら、ウソみたいに、“なかったこと”のようになっちゃうんですよ。著者さんと愛情を込めて一生懸命つくっても、絶版になってしまう本は少なくありません。

それがイヤだから、本にする意味を考える。つくるとなったら全力で書くし、全力で売るんです。ウェブの方が、プラットフォームさえ残っていれば誰でもアクセスし続けられるし、見てもらいやすいし、よっぽど保存性がいいですよ。本は、覚悟が必要です。

ライターたるもの赤字を食らい、届ける努力を

ーいつの間にか、イベントも終わりの時間に近づいていたようです。最後に「これから書き手として仕事をしていく人たちに、何かアドバイスを」と、お二人に聞いてみました。

佐藤さん:今はライターの仕事もたくさんあるし、どこで書いてもいいとは思いますが、ちゃんと原稿に赤字を入れてくれる媒体で仕事ができるといいですね。私も20年近くライターをやっていますが、未だにすべての原稿に結構な赤が入りますよ(笑)

赤字を人格否定のように捉える人も多いですが、そんなことはありません。原稿をよりよくするために、赤字が入るんです。編集者から赤字が入らない原稿は、成長につながりません。仕事で書く文章は、いつだって他人に読んでもらうものです。他人の指摘からしか得られない気づきや学びが、そこには必ずあります。

ー飯髙さんは「僕、ライターじゃないからね」と笑いながら、メディアの運営者目線で、次のように話してくれました。

飯髙さん:今はどんなメディアでも、ライターさんを欲しがっていると思いますよ。自分で書くこともあるから、なおさら感じるんですけど、人に読ませる記事を書けるってホントにすごいスキルです。誰にでもできることじゃない。

だからこそ、ライターの人たちはもっと「届ける意識」を持つといいんじゃないかな、と感じています。いいコンテンツをつくっても、届かないと意味がない。本当にいい記事を書いたと思えたなら、自分ができる範囲で、可能な限りデリバリーの努力をする。極端だけど1回しかシェアしないんじゃなくて、何回もするとかね。届ける努力が自分の発信力になって、そこから繋がる仕事もあるはずですよ。

ー「届いてくれるといいな」と願っているだけでは、都合よく届かないのです。「そうそう、私も自分の本を出した時、Facebookで8000人にDMしたなー」と、佐藤さんが相槌を打ったところで、イベントはお開きの時間となりました。

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書き手としての「人格」と、それが宿る「文章」と、どう向き合っていくか。人格を乗せて残したいものは何か、それを残す手段としてどこを選び、どう届けていくのか。考えるべきことはたくさんあって大変だけど、それを考え抜いて実践していった先で、開ける景色がきっとある。今は手の届かない天窓から、スッと健やかな風が吹き込んでくる心地がしました。

佐藤さんはこのイベントに合わせて、「今日の私の話に興味を持ってくれた人のために」と、こんな素敵なnoteを投稿してくださっていました。

飯髙さんの著書『僕らはSNSでモノを買う』や11月26日に発売の佐藤さんの著書『女は、髪と、生きていく』もぜひチェックしてみてください。

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皆さんは、お二人の話に触れて、何を感じましたか? 響いた言葉、受け取った思い、考えたこと。ぜひ、つぶやいたり、感想をnoteに書いたりしてもらえたら嬉しいです。

(執筆:西山 武志 / 撮影:長谷川賢人

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