働き方も、生き方も、もっと本人の自由でいい。inquireの広報担当、大崎祐子が世の中に伝えたいこと

今もなお、最も勇気のいる行動とは、自分の頭で考え続けること。そしてそれを声に出すこと——

時代は1880年代。フランス南西部で生まれた、「個」の名前でブランド(仕事)を生み出した女性であるココ・シャネル。彼女が生前に残したのが、冒頭の言葉だ。

ココが唱える、“最も勇気のいる行動”。それに挑み続けている女性を、わたしは知っている。IT企業の事業戦略を行う傍、フリーランスとしてinquireの広報/PRを担当する大崎祐子だ。

「自分の名前で、仕事をする」

1時間ほどのインタビューで、彼女の口からその言葉は3回以上発せられた。

地方で生まれたから。
女性だから。
もう若くないから。

そんなものは、夢を諦める理由にはならない。彼女の前に立つと、強くそう感じさせられる。会社員でありながら、フリーランスとしても活躍する彼女は、これまでどのような道を歩んできたのか。彼女が世の中に提供したい価値とは。

その本音に、そっとノックをしてみた。

[プロフィール]
大崎 祐子(おおさき・ゆうこ)
1993年 長崎市生まれ、熊本大学在学中より、クリエイターのマネージャー業務や企画・広報などの業務を東京・海外とリモートワークでおこなう。現在は大手IT企業で事業戦略の仕事をしながらプレスリリースの執筆〜広報戦略策定までおこなうフリーランスのPR担当として活動中。最近はnoteにて、広報でない人や広報初心者の方にむけた「#広報ことはじめ」のコンテンツづくりに取り組んでいる。
Twitter:https://twitter.com/yuko_osaki?lang=ja
Facebook:https://www.facebook.com/yukoosaki0814

とにかく色んなことに挑戦した学生時代。「個」の名前で仕事をする意識が芽生えた

——こりんさん(大崎のニックネーム)の話を聞くの、楽しみにしていました。今日は、よろしくお願いします。

大崎祐子(以下、大崎):こちらこそ、よろしくお願いします。

——まずはこりんさんの学生時代の話が聞きたくて。いろんなことに挑戦されていたんですよね。

大崎:大学1年生の頃から、大学の外で活発に動いてました。2年生からは熊本の人材育成やまちづくりを主な事業とする社団法人「フミダス」で学生インターンを受け入れてくれる企業の新規開拓の営業や、オンラインで衣服生産を実現するサービス「シタテル」のインターンを始めて。熊本のような地方にいてもアクティブに活動したい気持ちと、大学受験で自分の力を出し切れなかったモヤモヤが、当時の私を突き動かしていたんだと思います。

——最初は、熊本で活動を始めたんですね。熊本は挑戦の機会はいろいろとあったんですか?

大崎:機会はやはり多いわけではなくて、途中から東京の仕事もするようになりました。もっと広い世界で頑張っている人たちの動きを、自分の目でちゃんと見たいと思ったんです。熊本はもちろん良いところなんですけど、より広い視野でビジネスを学ぶことを考えたときに、やっぱり東京に進出すべきなのかなって。とはいえ、大学の授業があるし、休学も難しくて熊本から長期で離れることはできず、リモートでも働けるイベント企画のインターンを募集していた東京の会社に応募したんです。

——なるほど。熊本にいながらも、東京でも少しずつ活動の場を広げていったんですね。

大崎:そうですね。そのインターンで周りから自分の働きを評価されたこともあり、ハヤカワ五味ちゃんのマネージャーをやってみないかと声をかけてもらったんです。大学3年生の夏休みだったかな。そこから1年間くらいは、リモートでマネージャー業をしていました。その頃から、自分の名前で仕事をするという意識を持つようになりましたね。

——当時はまだ、学生のうちからリモートで働くという体験は珍しくなかったですか?

大崎:少なくとも、熊本という地方で学生のうちからリモートで働いている人は、私の周りではいませんでした。リモートワーク自体、当時はまだ浸透していなかったんじゃないかな。すごく貴重な経験ができていたので、企画・広報・マネージャーといった仕事を通して学んだことを広く発信するために、「地方での働き方」や「女性の働き方」というテーマでブログも書いていました。

——学んだことを自分の頭で言語化し、外に発信する。とても大切なフローですよね。
大崎:当時、ブログを書いて多くの人からリアクションをもらえたんです。自分の考えがいろんな人のところに届き、思考のきっかけになっている。そう実感できたときは、本当に嬉しかったですね。

若手でも挑戦できる環境重視で選んだ就職先。経営者目線で「ビジネス」を学び続ける

——東京に拠点を移したのは、社会人になってからですよね。現在は大手のIT情報通信企業に勤めているとのことですが、なぜITの世界に入ろうと?

大崎:若手でもチャレンジできる環境かどうかを考えたときに、行き着いた答えが「IT」でした。本当は潜在的に苦手意識があったんですが、ITについて知ることが増えるたびに、世の中を変えるものが生まれる最先端の場所だなと好印象を抱くようになったんです。その世界に自分の身を置けば、きっとクリエイティブな仕事ができる。そう予感して、IT業界に就職することを決めました。

——一口にITと言っても、ソフトウェアやハードウェア、スタートアップなど選択肢は多岐にわたると思いますが、なかでも今の会社を決めた理由って?

大崎:一からビジネスをちゃんと学んで、自分自身スキルアップをしたかったからです。当時自分が持っていたスキルを切り売りする働き方では、絶対に疲弊する。PDCAがちゃんと回っていて、若手でも挑戦できる気風のある会社を重要視した結果たどり着いたのが、今の会社でした。

——学生時代から意識していた「個」として働くことを長い目で見たときに、まずは「自身のスキルアップ」こそがクリアすべき課題だったと。たしかに、ビジネス知識が乏しいままフリーランスとして挑戦しても、その先の成長が見込めないですよね。

大崎:当時はそう判断して、いきなりフリーランスとして働くのではなく、企業へ就職する道を選びました。

——今の会社では主にどんなことに携わっているのでしょうか?

大崎:最初はPCゲームのプラットフォームの企画をする部署にいたんですが、今は主力事業立ち上げの部署にいます。ある程度大きな企業でも、何かを0から立ち上げるときって基本的に何にも決まってないんですよ。まずは事業全体で決まってないことを整理し、意思決定できるたけの情報を集める。いろんな人の利害関係を踏まえたうえで事業の施策を練り、マーケティングやPRなど、施策単位のことも考えるという。ちょっと気が遠くなるような仕事をしていますね。(笑)

——0を1にする働きは、その過程で結構神経を使ったりしますよね。ただその分、やりがいも大きいんじゃないでしょうか。

大崎:やりがいはありますね。入社する前は、今みたいな仕事をするとは全然思ってなかったんですけど、結果的に自分のやりたかったことに近づいてきてるのかなと。一つの事業を構成する数字が何であるのか、その数字を上げていくためにはどう動くべきなのか、それに付随する意思決定は誰がすべきなのか…。経営者目線で、なおかつ長い時間をかけて現場に立たなければ分からない「ビジネス」を体験できているのは、本当に貴重なことだと思います。

inquireとの出会いをきっかけに、大企業的な働き方から脱却することができた

——inquireに出会ったのは、社会人になってからですか?

大崎:社会人2年目の秋だったと思います。会社員である自分に対して「このままで本当にいいのかな?」と不安になっていた時期でした。日々できることは増えていくものの、学生時代から意識していた、「自分の名前で仕事をする」ことに対してアプローチできている気がしなかった。

——自身の目標に近づけていない焦りを感じるようになったんですね。何か転機があったのでしょうか?

大崎:友達からプレスリリースの書き方についてアドバイスを求められる機会があったんです。相談に乗っているうちに、PR・広報に関する自分のスキルは意外にも需要があるのかもと思い始めて。

——自分の持つスキルが、仕事として成り立つかもしれないなと感じたんですね。

大崎:複業はハードルの高いイメージがあったんですが、自分の提供できるスキルに対して一定のニーズがあるなら、私も複業を始めてもいいのかなと。そんな内容のツイートをしたあとに、ジュンヤさん(inquire代表)から「inquireの広報を手伝ってくれないかな?」と連絡がきました。それがきっかけでしたね。

——自分の複業に対する考え方をツイートしたことが、最初の始まりだったんですね。inquireではどのような業務を担当されているんでしょうか?

大崎:最初は広報として入ったんですが、広報だけではなく事業企画的な動きもしています。inquireはまだ創業して間もなく、決まってないことも多いので、一緒にトライアンドエラーをしている感覚ですね。ジュンヤさんが「これをやれると面白いよね」とslackで呟いたことを、「やりましょう!」と手を挙げて実際に動かすことをしています。

——inquireメンバーのインタビュー記事を掲載することについても、こりんさんが実現化まで導いたと聞きました。広報だけでなく、事業企画のような動きをするなかで心がけていることってありますか?

大崎:inquireは基本的にリモートワーク中心なので、チャット上の会話は特に意識していることが多いかもしれません。なるべく早く返信することはもちろん、他のメンバーの思考が回っていないところに手を伸ばすような発言をすることも心がけています。誰がやるのかも決まっていない、ふわっとしたタスクのボールが投げられたときは、そのボールを積極的に拾うようにもしていますね。

——オンラインでのコミュニケーションが中心になると、そのあたりは特に重要ですよね。

大崎:でも、inquireに入ったばかりの頃は、積極的に動けずにいたんですよ。

——え!意外です。

大崎:というのも、当時の私は大企業的な働き方が当たり前になっていたんですよね。自分のすべき仕事は決まっていて、与えられたタスクに対してコミットさえすれば評価される。inquireに入った当初は、作業の業務委託のような働きしかできず…。ベンチャーやスタートアップのように、物事が決まっていないことが当たり前の環境で仕事をするマインドセットが足りていなかったんだと思います。

——業務委託のような働きから、今のように積極的に動けるようになったきっかけって?

大崎:ジュンヤさんから面談でフィードバックをもらったんです。相手が自分に呼びかけるのを待つのではなく、自分からアクションを起こすこと。「ここはもっとこうしたほうが良いのでは?」と気づいたのなら、それを自分の言葉で周りに伝えること。事業を進めていくなかで分からないことがあるのなら、それをクリアにする為にも、仲間とコミュニケーションをとること…。ジュンヤさんと話していくなかで、反省する点がたくさんありました。

——そのときのフィードバックをもとに、inquireでの動き方を変えたんですね。具体的に、どう変えたのでしょうか?

大崎:一般的に言う「企業」と「会社員」のような関係性ではなく、“パートナー”として事業に携わるというマインドセットに変えましたね。以降、自ら積極的にinquireに関われるようになり、自分に自信を持てるようにもなりました。

「自分の名前で仕事をする」なかで、人の“働き方”に対する暗黙のルールを払拭していきたい

——最近、個人でもよくnoteを更新されていますよね。「自分の名前で仕事をする」という兼ねてからの目標に対しても、前進しているのかなという印象を受けます。

大崎:noteの更新もそうですし、広報の勉強会や講座を開く機会も増えましたね。広報の役割を把握せずに、何となく必要そうだからという理由で広報を置いているスタートアップやベンチャーの経営者って意外と多い。
でもそこを曖昧なままにしておくと、スキルのある広報担当者でも評価されないまま、会社自体もグロースしないと思うんです。その課題を解決するために勉強会をスタートさせました。有難いことに好評を頂いているので、この動きはこれからも続けていきたいですね。

——フリーランスとして活動するなかで、意識していることってありますか?

大崎:プレスリリースを1本いくらで書いてほしいといった単発のお仕事は、なるべく受けないようにしています。というのも、プレスリリースを一本書くのにも、事業の目的や当事者の思いを丁寧にヒアリングして一言ひとこと丁寧に言語化していくと、「頭」と「時間」をすごく使うんですね。
でも複業で広報の仕事をしている以上、どうしてもそこにかける時間は限られてしまう。だったら私のスキルに信頼を寄せてくれる人たちに対して、じっくり向き合っていきたい。互いに良き“パートナー”として、相手と長い付き合いができる仕事を生み出すよう心がけています。

——長い時間をかけて、クライアントと向き合う。きっと、その姿勢がお互いにとって価値の高い仕事を作り出すことにも繋がりますよね。個人として仕事をするという目標が叶いつつあるなか、これから先さらに目指していきたいことってありますか?

大崎:女性の働き方を始め、個人の働き方に対する固定概念を払拭していきたいです。考え方が固まったままだと、社会にとってもプラスに働かないので。働き方も、生き方も、もっと本人の自由でいいんじゃない?と思うんですよ。社会の暗黙のルールに捉われず、私たちは自分の好きなように働き、生きても良いんだってことを、何かしらの形で発信していきたいです。

——素敵な目標ですね。最後に、こりんさん自身は、どんな人とinquireで働いていきたいかについて聞かせてください。

大崎:組織や社会にポジティブな影響を与えることに興味があったり、物事をプラスに考えられる人と働きたいですね。私のように会社員でありながら、複業としてinquireに関わりたい人も歓迎です。向上心が高く、自分自身のキャパを広げるとか、チャレンジの場を持つことが好きな人は、inquireに合っていると思います。


社会が変わるのを待つのではなく、自ら社会を変えていく。彼女の話す言葉一つひとつには、そんな強さが感じられる。前に進み、悩み、考え、また歩き出す。その過程から学んだことを、自分の声で発信する。

きっと彼女は、挫折や栄光を味わいながらも、自身をアップデートし続けるに違いない。

かつてのココ・シャネルが、そうであったように。

(文:なかがわ あすか)
(写真:小山 和之)


inquireでは 編集者・ライター・ディレクター・PM・各媒体のインターンなど、ともに働く仲間を募集しています。

下記ページの各募集記事よりぜひご連絡ください。

https://form.run/@inquire-entry